せっこうボードの種類と特徴|ビス固定や加工時に知っておきたい基礎知識

石膏ボードとは、硫酸カルシウムを主成分とする石膏を芯材とし、両面を原紙で覆った板状の内装材です。主に壁や天井の下地材として使用され、住宅から商業施設までほぼすべての建築物に採用されています。

最大の特徴は以下の3点です。

・耐火性(結晶水による温度上昇抑制)
・遮音性(質量と構造による音の透過低減)
・施工性(カッターで加工可能)

軽量で施工しやすく、耐火性や遮音性に優れているため、住宅ではほぼ標準的に使われています。

ただし、せっこうボード自体は強度が高い材料ではないため、ビスが効きにくい、重いものの固定には向かないという特徴があります。

そのため、物の取り付けや配線を行う際には、ボードの種類や下地の有無を把握することが重要です。

石膏ボードの種類一覧

せっこうボードは、見た目は同じように見えても種類によって性能や特徴が大きく異なります。JIS A 6901に基づいて分類されており、現場では記号で識別されます。

JIS A6901:2014 GBの種類及び記号より引用

種 類記 号説 明主な用途
せっこうボードGB−Rせっこうボード(GB)の標準的なもの。壁及び天井の下地材
強化
せっこうボード
GB−FGB−Rの芯に無機質繊維などを混入したもの。壁及び天井の下地材,防・耐火構造などの構成材
普通硬質
せっこうボード
GB−R−HGB−Rをベースにして、耐衝撃性がGB−Fの約1.2倍以上、曲げ破壊荷重がGB−Rの約1.3倍以上のもの。間仕切、通路、廊下などの壁、腰壁その他防火、耐火、遮音の各構造の下地材
シージング
せっこうボード
GB−S両面のボード用原紙及び芯のせっこうに防水処理を施したもの。屋内の台所,洗面所などの壁及び天井の下地材
シージング硬質
せっこうボード
GB−S−HGB−R−Hの性能を保持し、かつ、防水処理を施したもの。屋内の台所,洗面所などの壁及び天井の下地材
化粧
せっこうボード
GB−DGB−Rの表面に化粧を施したもの。壁及び天井の仕上げ材
化粧硬質
せっこうボード
GB−D−HGB−R−Hの性能を保持し、かつ、表面に化粧を施したも
の。
壁及び天井の仕上げ材
不燃積層
せっこうボード
GB−NCGBの表紙として不燃性の原紙を用いたもの。不燃性表紙に化粧を施したものもある。・化粧なし:
壁及び天井の下地材
・化粧あり:
壁及び天井の仕上げ材
せっこう
ラスボード
GB−LGB−Rの表面に長方形のくぼみを付けたもの。せっこうプラスター塗壁の下地材
構造用せっこうボードA種GB−St−AGB−Fの性能を保持し、かつ、くぎ側面抵抗を強化したもの。側面抵抗によってA種及びB種がある。耐力壁用の面材
B種GB−St−B
吸放湿
せっこうボード
GB−R−HcGB−R・GB−S・GB−F・GB−L・GB−D・GB−NC・GB−R−H・GB−S−H・GB−D−H・GB−St−A及びGB−St−Bの性能を保持し、かつ、吸放湿性能を約3倍に高めたもので、記号の末尾に“Hc”を付けたもの。吸放湿性能によって室内湿度を一定範囲内に保つのに適した壁及び天井の下地材及び仕上げ材
吸放湿シージング
せっこうボード
GB−S−Hc
吸放湿強化
せっこうボード
GB−F−Hc
吸放湿せっこう
ラスボード
GB−L−Hc
吸放湿化粧
せっこうボード
GB−D−Hc
吸放湿不燃積層
せっこうボード
GB−NC−Hc
吸放湿普通硬質
せっこうボード
GB−R−H−Hc
吸放湿シージング
硬質せっこうボード
GB−S−H−Hc
吸放湿化粧
硬質せっこうボード
GB−D−H−Hc
吸放湿構造用せっこうボードA種GB−St−A−Hc
B種GB−St−B−Hc

※.上記の表は日本規格協会様に許可を頂き掲載しているものです。

ここからは、現場での使用頻度や重要度の高い順に詳しく解説します。

普通せっこうボード(GB-R)

普通せっこうボードは最もベーシックな、せっこうボードで、いわゆる「プラスターボード」と呼ばれるものです。厚さは9.5mm、12.5mm、15mmが主流です。

性能としては、準不燃から不燃材料に該当し、標準的な遮音性能を持っています。コストも最も低く、汎用性に優れています。

用途は住宅の壁や天井の下地、オフィスや店舗内装など幅広いです。定番のせっこうボードですが、水回りや衝撃が加わる場所には適していません。

強化石膏ボード(GB-F)

強化せっこうボードは、ガラス繊維などを混入することで耐火性能を高めたボードです。

耐火構造に対応しており、高温時の崩壊を遅らせる効果があります。防火区画や避難経路、耐火壁などに使用されます。

設計図面で指定されることが多く、厚みや重量が増すため施工計画には注意が必要です。

普通硬質せっこうボード(GB-R-H)

普通硬質せっこうボードは、通常のせっこうボードよりも強度が高く、耐衝撃性に優れています。

廊下や腰壁など、人が触れたり物が当たったりしやすい場所に適しています。学校や病院では標準的に採用されるケースも多く、軽量鉄骨下地との相性も良好です。

シージングせっこうボード(GB-S/耐水ボード)

シージングせっこうボードは、防水処理された原紙や添加剤により耐水性を向上させたボードです。

見分け方としては、緑色や青色の表面紙が使われていることが多いです。

洗面所、キッチン、脱衣室などの水回りで使用されますが、完全防水ではありません。そのため、浴室内部のように直接水がかかる場所には適していません。

化粧せっこうボード(GB-D)

化粧石膏ボードは、表面に仕上げが施されており、クロス施工が不要なタイプです。

店舗の天井や学校、商業施設などで使用され、工期短縮やコスト削減に大きく貢献します。

せっこうラスボード(GB-L)

せっこうラスボードは、左官仕上げ用に作られたボードで、モルタルの食いつきが良いのが特徴です。

塗り壁の下地や和風仕上げに適しています。

構造用せっこうボード(GB-St)

構造用せっこうボードは、耐震性や耐力性能を持たせたボードです。

主に耐力壁や木造住宅の構造補強に使用されます。合板の代替として採用されることもあり、釘やビスのピッチ管理が重要になります。

現場での見分け方(重要ポイント)

石膏ボードは種類が多いため、現場での見分け方が重要です。

まず色で判断する方法があります。一般ボードはグレー、耐水ボードは緑、耐火ボードはピンクであることが多いですが、メーカーによって異なるため注意が必要です。

確実なのは印字の確認です。GB-Rは一般、GB-Fは耐火、GB-Sは耐水を示します。すでに取付け済み、壁紙が貼られているなど印字の確認ができない場合は施工図などで確認しましょう。

また、叩いた感覚などでも、簡易的な確認はできますが、物を固定する場合ボードによって、使用できるアンカーの種類も変わってくるので確実な確認が必要です。

せっこうボードがどのような部材(GLボンド・間柱・軽量鉄骨)に取付けられているのかや既存配線の有無も知っておく必要があります。

石膏ボードの性能を理解する

石膏ボードの耐火性は、内部に含まれる結晶水によるものです。火災時には水蒸気を放出し、温度上昇を抑えます。つまり「燃えない材料」というよりも、「温度上昇を遅らせる材料」と理解することが重要です。

遮音性能については、ボード単体ではなく壁全体の構成で決まります。質量が大きいほど有利であり、多層構造や空気層、吸音材との組み合わせが重要になります。

一方で弱点もあります。水に弱い点、衝撃で欠けやすい点に加えて、石膏ボードはビスの保持力が低く、単体では十分にビスが効かない場合があります。特に重量物の固定は非常に危険です。

そのため、施工時には以下のような対策が必要です。

・下地(木材や軽量鉄骨)に確実に固定する
・ボードアンカーや中空用アンカーを使用する
・必要に応じて下地補強を行う

用途や重量に応じて、固定方法を考える必要があります。

せっこうボードが脆い理由

せっこうボードの芯材は「石こう(硫酸カルシウム)」を主成分としており、固まってはいますが金属や木材のような粘り強さはありません。

内部は密実な塊ではなく、細かい結晶が集まってできた比較的もろいものです。せっこうボードは、この両面を紙で挟んだだけの構造です。紙自体も形状を維持するためや割れを抑えるためのものであり強度の主体ではありません。

ねじやフックを固定する場合、荷重がかかると「引き抜き方向」の力が発生します。

このとき

・石こう部分が崩れる
・ビス周囲が拡がる

ことで、簡単に抜けてしまいます。

木材や金属は、力が加わると多少変形しながら耐える「粘り(靭性)」があります。

しかし、せっこうボードは

・変形する前に割れる
・力を逃がせない

という性質があります。そのため、局所的に力がかかると一気に破壊されやすく、これが「脆い」と感じる原因になります。

硬質せっこうボードは密度が高く硬いため、施工時にはビスが効いているように感じますが、時間の経過にしたがい緩みが発生します。粉が固まっただけの物質だという認識をもって適切に固定することが必要です。

まとめ

せっこうボードは一見同じに見えても、用途によってさまざまな種類があります。

物の取り付けや配線作業を行う際には、

・ボードの種類を把握する
・ビスが効きにくいことを理解する
・下地を使って固定する
・必要に応じてアンカーを使用する
・既存配線の有無を確認する

といった点が重要になります。

せっこうボードは便利な建材ですが、構造を理解せずに取り付けを行うと、落下や破損の原因になります。適切な方法で施工することで、安全で確実な施工が可能になります。