
コーキング材は、水回りの防水や壁の隙間埋め・充填に使用される建築材料です。サイディング外壁にビス打ちをする時などにも良く使用されます。
今回のテーマとなる、普通のシリコンコーキング材と、変成シリコンコーキング材ですが、同じように見えて用途によって使い分ける必要があります。
普通のシリコンの方が安いので、どこでも使ってしまいそうですが、使い分けを誤ると、後々の工事に影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。
変成シリコンは、普通のシリコンの上位互換ではありません。
コーキング材をホームセンターなどで購入する場合、普通のシリコン製のものの方が安いです。名前と価格から考えて、変成シリコンが普通のシリコンの上位互換の製品だと思っていませんか?
この2種類、名前こそ似ていますが、材質も性質も異なるものです。
シリコンは、シロキサン結合(Si-O-Si)を主骨格にした「シリコーン樹脂」です。
対して、変性シリコンは、シリコーンで変性されたウレタン樹脂というのが一般的な説明です。
より正確には、
ポリエーテル(またはポリウレタン)をベースに、末端にシリル基(Si)を結合させた樹脂
つまり、シリコーンを主成分にして何かを混ぜたものではなく、ウレタン系の樹脂の端っこにシリコーンの「硬化する仕組み」だけを借りてきたイメージです。
「変成(変性)」= ある素材に別の素材の性質を加えて改質することなので、この場合は「ウレタン樹脂をシリコーンで変性した」→「変成シリコン」という名前になっています。シリコーンが主役ではなく、シリコーンの性質を借りたウレタン系樹脂が正体です。
この2種類、似てはいますが異なる材料からできているものなのです。そのため、性質も異なるということになります。
普通のシリコンと変成シリコンのコーキング材の違い
この2種類の使い間違いでもっとも影響がでやすいのは、上に塗装ができるかどうかです。
普通のシリコンコーキング材の上に → 塗装できません
変成シリコンコーキング材の上に → 塗装できます
普通のシリコンは表面エネルギーが低く、塗料を弾きます。しかし変成シリコンは、有機ポリマー系の性質を持っているため、塗料が密着しやすい材質になっています。
外壁に普通のシリコンを使ってしまうと、塗装が乗らなくなるためトラブルの原因となります。
普通のシリコンと変成シリコンの使い分け
使い分けとして、後から塗装する場合は、変成シリコン一択となります。それ以外の場合は 用途によって選ぶ必要があります。
| 場所・用途 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 🛁 浴室・お風呂 | 普通のシリコン | 耐水・防カビ性が高い。塗装しない |
| 🍳 キッチン・洗面台 | 普通のシリコン | 常に水に触れる。防カビ性が重要 |
| 🪟 窓サッシ・ガラス周り | 普通のシリコン | ガラスへの接着性が高い。塗装しない |
| 🏠 外壁・サイディング目地 | 変成シリコン | 塗装が必要なため必須。シリコンだと塗料をはじく |
| 🧱 外壁(塗装なし・打ちっぱなし) | 変成シリコン | 外壁材への接着性が高く無臭 |
| 🚗 車・耐熱部位 | 普通のシリコン | 耐熱性が高い |
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基本的に水回りには普通のシリコン。外壁には変成シリコンという感じの使い分けになります。
間違えると起きる問題
シリコンを使うべき場所に変成シリコンを使った場合
- 浴室などでは耐水・防カビ性がやや落ちる
- 大きな問題にはなりにくいが長持ちしない場合あり
変成シリコンを使うべき場所にシリコンを使った場合
- 塗装が完全にはじかれて塗れない ← これが致命的
- 一度打ったシリコンを除去するのは非常に大変
- 外壁全体の塗装工事に支障が出る
エアコン配管化粧カバーの場合は?
エアコンの配管化粧カバーを取り付ける場合は、防水性も気になりますし、外壁なので塗装にも対応しなければなりません。
化粧カバーにコーキング位置が指定されていて、カバー内にコーキングがおさまるのであれば、防水性や耐候性を考えて、シリコンのものが良いと思います。
カバーからはみ出てしまう可能性がある場合は、塗装を考慮して変成シリコンのコーキングを使用しましょう。
シリコンと変成シリコンの比較まとめ
普通のシリコンと変成シリコンの違いをまとめておきます。
| 項目 | 普通のシリコン | 変成シリコン |
|---|---|---|
| 主成分 | シリコーンポリマー | MS樹脂(変性ウレタン) |
| 塗装の可否 | ✗ 不可 塗料をはじく | ✓ 可能 上から塗料が塗れる |
| 耐水性 | ◎ 非常に高い | ○ 高い |
| 耐候性・耐熱性 | ◎ 非常に高い | ○ 高い |
| 密着性 | 限定的 | ◎非常に高い |
| 防カビ性 | ◎ 高い防カビ剤入り製品が多い | ○ 普通 |
| 臭い | 酢酸臭あり硬化中は換気が必要 | ほぼ無臭 |
| 硬化後の硬さ | 柔らかい(ゴム状) | やや硬め |
表は横にスクロールできます。
まとめ
シリコンコーキングと変成シリコンコーキングは、名前は似ていますが用途がはっきり分かれています。
浴室やキッチンなど水回りの目地には、耐水性と防カビ性に優れた普通のシリコンが適しています。一方、外壁のコーキングや塗装仕上げが必要な箇所には、上から塗料が塗れる変成シリコンを選ぶ必要があります。
最も大切なポイントは「後から塗装するかどうか」です。塗装が必要な箇所に普通のシリコンを使ってしまうと、塗料がはじかれて塗装できなくなり、打ち直しも非常に手間がかかります。この一点さえ押さえておけば、ほとんどの場面で迷わず選択できます。
素材の性質を正しく理解して使い分けることで、長持ちする仕上がりと、後のメンテナンスのしやすさにつながります。





